気になったこと。  「世界仰天ニュース 私の子どもを返して!」のこと

今日いつものようにぐーたらとテレビを見ていたら、「世界仰天ニュース」という番組で、「私の子どもを返して」と題して、ある事件について取り上げていた。(この番組は世界中の仰天するようなニュースを再現ドラマにして鑑賞するという、なぜかうちの妹が一番好きな番組)
以下、概要。

2009年9月、イギリスのスコットランド地方にあるファイフ市で幸せに暮らすマーク・マグダガル(当時26歳)とケリー・ロバートソン(当時18歳)の二人は婚約し出産を控えていた。
そんな幸せそうな二人が結婚を二日後に控えていた時に事件が起こる。突然、二人の前に見知らぬ人物が現れ「二人の結婚は許可できません」と言う。謎の人物の正体はスコットランド、ファイフ市のソーシャルワーカー。イギリスには、政府や市などにソーシャルワーカーと呼ばれる社会福祉士が配置されており、知的障害者やお年寄りなどに対して日常生活のケアやアドバイスを行ったり、飲酒や薬物中毒、家庭内暴力などの問題のある家庭を訪ね、子供が安全に暮らせないと判断した場合、養子縁組の手配をしたりするなどの様々な役割を担っている。何故そんなソーシャルワーカーが来たのかというと、実はケリーは学習障害を持っていたのだ。イギリスでは国や市が障害の重さを判断し、結婚を阻止出来ると法で定められている。さらに生まれた子供に精神的、身体的に悪影響を与える可能性があると、出産後の子供を引き取ると決められてしまった。
それにしても何故ケリーは学習障害と判断されたのか。それはケリーを生まれた頃にさかのぼる。
ケリーの両親は、共に子育てがままならない程の重度の学習障害をもっていた。
そこで当時のソーシャルワーカーの判断によって、両親でなく祖母がケリーを育てる事に。しかしケリーにも文章の読解や数字の計算に時間がかかってしまう学習障害があった。そして、成長した彼女が新しいソーシャルワーカーと面談した時、良く知った人としか上手くしゃべれないケリーは、態度の悪いソーシャルワーカーに嫌悪感を抱き質問に答えず黙っていると、それを重度の学習障害があり、人とまともに話す事が出来ないと判断された。その事が全ての不幸の引き金となっていたのだ。
これ以上この国にいても不幸になると思った二人は逃げるようにスコットランドを出てアイルランドで生活をする事にした。しかし、ソーシャルワーカーは、ケリーが出産のための定期検診を受けている記録から二人の居場所を突き止め、生まれた赤ちゃんを保護しに追いかけて来たのだ。結局、二人は政府の力に逆らう事が出来ず大切な赤ちゃんを奪われてしまう。マークは藁にもすがる思いで、以前、電話をくれたイギリス自由民主党下院議員であるジョン・ヘミング氏に相談。すると、正式な手続きをすれば面会も出来、頑張れば子供を取り返せる事がわかったのだ。以降、二人は何度も市役所を訪れ、子どもの親として問題の無い事を認めてもらうため、精神科医のテストを受けた。これは人と話す事が得意でないケリーにとってはとても大変な努力が必要だった。そして努力の結果、ケリーの障害は問題が無い事が認められた。現在、3人は努力で勝ち取った幸せな生活を送っている。子供を守る大切な役割があるこのイギリスのソーシャルワーカーだが、反面でこの様な事例が起こる事がある。

世界仰天ニュースのHPから引用(http://www.ntv.co.jp/gyoten/oa/110216/01.html

結婚の約束を交わしたカップルにとって、結婚式は大事なセレモニー。その直前ともなれば、不安や緊張感を抱きつつも、期待に大きく胸膨らませることだろう。英国のある若いカップルも、9月上旬に結婚式を挙げる計画を立て、2人で準備を整えながら当日を楽しみにしていた。しかし、式のわずか2日前に、ソーシャルワーカーが「女性は結婚を理解していない」と結婚式の中止を通達。実は、女性には軽い知的障害(※17日午前2時訂正 「learning difficulties」は、同じ英語圏でも米国などとは異なり、英国では知的障害の意味で使われるとのご指摘をいただいたため、表現を改めました。お詫びして訂正いたします)があるためソーシャルワーカーが付いていたのだが、この行動に、ネットでは「やりすぎだ」との批判の声が挙がっている。
このカップルは英スコットランド・ダンファームリンに住む、25歳のマーク・マクドゥーガルさんと17歳のケリー・ロバートソンさん。2人は今年1月に出会い、ロバートソンさんが妊娠したのをきっかけに結婚の約束を交わした。4か月前には同棲を始め、9月5日に予約した教会での結婚式に向け、幸せな生活を送ってきたそうだ。ところが9月3日、ウェディングドレスや指輪も用意して、2日後に迫った結婚式の最終準備をしていた2人のもとに、玄関のドアを必死に叩く“招かざる訪問者”がやってくる。
家を訪れたのは、2人のソーシャルワーカー。彼らは突然「彼女は知的障害で結婚を理解していない。だから結婚は違法だ」(英紙デイリー・メールより)と通達し、結婚はできない旨を告げた。スコットランド法には「どちらか、もしくは2人とも結婚制度を理解するための精神的な能力が欠如していると認められる場合、結婚を受け付けない可能性がある」という決まりがあるそうだ。
ロバートソンさんは、両親が育児できない状態だったために、生後9か月から社会福祉サービス部の保護を受けながら祖母のもとで生活をしていた。さらに、彼女が軽い知的障害を持っていたことから、ソーシャルワーカーが付いていたという。その結果、「ロバートソンさんは結婚を理解できていない」と判断され、結婚中止の通達が出されたということらしい。
突然の通達に号泣したロバートソンさんは、「私は結婚がどういうものか分かっている」「私はマークを愛しているし、彼と結婚したい」(デイリー・メール紙より)と、戸惑いを隠せない。一方のマクドゥーガルさんも「僕たちは互いに愛し合っているし、結婚していないカップルの子どもとして生まれてほしくない」(同)と、妊娠5か月に入った赤ちゃんへの思いを告白している。しかし、ソーシャルワーカーとの話は平行線をたどり、現在結婚が許可されるかは心理学者による面談の評価にかかっているそうだ。
怒りの収まらないマクドゥーガルさんは「彼女があまり勉強ができないというのは本当」(同)と知的障害が見られるのを認めつつも、「彼女は愛情あふれる人で、読み書きは上手くないかもしれないが、努力して学校にも通った」(同)と弁護。また、結婚を決めた時にはソーシャルワーカーらが「喜んでサポートするとも言った」(同)と話し、突然意見を変えた社会福祉サービス部に納得がいかないようだ。
これに対し、社会福祉サービス部側は「守秘義務の関係上、個々のケースについて話せない」(同)と、コメントを拒否している。しかし、この話題を伝えたデイリー・メール紙には、社会福祉サービス部の対応に疑問を感じるネットユーザーから多くの意見が寄せられた。
「2人が愛し合い子どももできたのに、なぜ結婚できないのか」「彼らに問題ないのに、彼女の知的障害を盾に結婚式を止めるのは間違い」と、そのほとんどがカップルへの同情を示す内容だ。中には「古い体質の社会福祉サービス部は、弱い相手を見つけて攻撃する」「『個々のケースについては話せない』とは便利な言い訳」と、社会福祉サービス部の体質を疑問視する意見も。また、米国やオーストラリアを始め、中東、アジアからの意見も見られ、どの国の人も「おかしな話」と理解に苦しんでいるようだ。

Narinari.com(http://www.narinari.com/Nd/20090912307.html)より引用


そもそもびっくりしたのは、スコットランドに今もそんな法律が存在し、しかも運用されているのか、ということ。ご存じのとおり、日本では知的障害だからと言って、行政が権限を行使して、結婚を認めないなんてことはありえないはずだ。(家族での反対はあるにしろ)

なので、気になったのでこの点について調べてみたのですが、一切何もわかりませんでした…(小声)

この辺鄙なブログをご覧になっていて、しかもスコットランド法のどの法律にそういう文言がのっているのか知っている方がいらっしゃったら教えていただけるとうれしいです…!
優生学とかと関係あるのでしょうか?そして、障害者団体なんかは抗議してないのでしょうか?
謎です。
 
そして、日本でソーシャルワーカー社会福祉士を訳すのが恥ずかしくなるほど、向こうには権限が与えられているのだな、ということも調べてたらわかってきたり。
また何故、上のケースではこんなことになってしまったのか、というとイギリスでは親の権利<子どもの権利、という考えからではないか、ということ。*1
このケースにおいてはソーシャルワーカー交代の際に、何故か彼女が重篤な知的障害であり、後見人をつけなけらばならないようなレベルだと判断されたため(ここに問題があるとは思うけど…)に結婚ができず、しかもスコットランドから逃走したせいで、知的障害とプラスして親として不適当ではないか、という判断がソーシャルワーカーによってされた、と考えられるのではないだろうか。学部生の戯言だけど。
だから、やふー知恵袋とかにこういう(http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1255740232)投稿がなされるとちょっとむなしくなる…。たぶん、意地悪でこういう判断をしているのではない。子どもに何かあっては遅い!という予防的な措置が悪く働いたのではないだろうか。彼女の親も知的障害で、二人で育てられないと判断したので、祖父母が里親として育てた、と言っていたし、適切なレベルの介入ではないのだろうか…。でも同じようなケースが何件も起こっていると議員は話していたんだよな…。ううむ。難しい…。
どういうことかよく把握できない事例だけど、行政のソーシャルワーカーを悪者にしないでほしい、とは思った。彼らは彼らで職務でやったのであって、意地悪でないことをわかってほしい。

*1:子の監護、面接交渉、懲罰、教育、宗教上の教育、治療に関する権利の行使と主張されるものはいかなるものであれ、子の福祉を促進しなければならず、そうでなくとも、少なくとも子の利益に反するものであってはならないという意味において、自分の子に対する親の権利は一応の権利に過ぎない。これは福祉原理として知られている。もし親権の行使とされるものが子の利益に反するのであれば、このような状況においては、第三者、たとえば医者やソーシャルワーカーにはその親の希望に従って行動する義務はない。親権の行使とされるものが実際にこの福祉に反するか否かの最終的な裁定者は、裁判所たるべきである。」