上智シンポジウム まとめ

今日は上智で行われた国際女性デー記念シンポジウム「世界118位の現実:クォータは突破口となるか」に行ってきた。
IPU(列国議会同盟)による世界女性国会議員データによって、世界女性国会議員比率をランキング化すると、日本は118位になるらしい。おっそろしい話だけど。上位にランキングされている国ではポジティブ・アクションとして、クォータ制(割り当て制度)が利用されている。日本でのクォータ制の利用への道、また公民問わない日本における女性の進出について、考えるシンポジウムだった。


・韓国では、2000年にクォータ制を法律に定める。今まで、国3回、地方3回の計6回の選挙がおこなわれており、成立10周年の去年は法律の見直しが行われた。
憲法ではなく法律によって定めている。議席の割り当てという形で行わず、比例代表の候補者名簿の50%は女性にすることを強制的に定めている。小選挙区については30%と定めているが、こちらは努力規定。
成果としては、「直接的かつ明確に女性議員の増加につながった」といえる。
立法活動としても目覚ましい活躍。第16代国会(2001〜2004、このころはまだ比例においても女性比率は努力規定だった?らしい)においては47件の議案提出があったのに対して、第17代国会(2005〜2008)においては106件に増加、その内容も非常に多様化した。
今後も課題はある。比例で入った人たちが任期を1度で終えてしまうことなど。理想としてはこの人たちが今後は選挙区において出馬し当選を目指し、新たな人々が比例に入ることが望ましい。
法制度は効果が早いし、やるべき。信頼できない、選挙に負けそうになると公約を覆す政党にまかせるべきではない!
→韓国の女性が労働デモに携わった「外泊」という映画を見たけれど、その背景にも政界への女性の進出があるのかもしれないと思った。下からの女性運動が成立させた法律といっていたけれど、その辺について言及がなかったので、今後勉強したいところ。
これ(http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200504_651/065105.pdf)とかは背景がちょっとつかめる。運動がこれだけ大きな力を持っているのがすごいなーと思っていたら、韓国は市民運動は政府に日本ほど下に見られることがないとの言及があるページを発見(http://hwm2.wh.qit.ne.jp/fem-yoko/kosyusei.html)。ほんとかなー。気になるところ。
その他の諸外国についても発表があったみたいだけれど、私は遅刻したので聞けなかった…。資料はたぶんこれと同じもののよう。(http://www.gender.go.jp/positive/siryo/po01-5.html


アメリカでクリントンさんが「アメリカには女性が進出するにはまだ見えない天井がある」とおっしゃったが、日本には「見える天井がある」…。(他の方の発表では鉄の天井とか、そもそも床から足が抜け出さない、という表現もありました)現在の民主党において女性の福代表はたった一人。
ポジティブアクションを行おうとすると、男性の側から勝ち上がることへの阻害だという話も出てくるけれど、必ず女性の側からの非難がある。劣勢のスティグマを押されることになるので、自分だけで勝ち上がることが出来るのにと思ってしまうことから。
でも、現在衆議院では女性は16.7%、参議院では22.9%と少ない。せめて、30%になるように外からも声をあげていくべき。


・「雌鶏が時を告げれば、国が滅びる」という言葉がある…。


ポジティブアクションは「暫定的」。将来なくなる法律であるという視点も大事。
コース別採用はいまだに残っている。一般職はなくなったように見えるけれど、総合職という名前の中にも一番下のランクから昇進できない人がいる。巧妙に不可視化されている。また、性別で差別することが禁止されたので、代わりに学歴を理由に昇進を拒んだり、そもそも女性を非正規として入れる場合も増えている。
法律が制定されると、職場は変わる。コース別を敷いていない企業では、男女雇用機会均等法以後確かに働き方が変わった。つまり、コース別がなければ昇進可能ということ。
育児休暇が取りやすい雰囲気にはなった。しかし、とった人がキャリアリセットされる状況は変わらない。出産等で差別してはいけないはず。育児休暇を取ったから昇進できないと女性が諦める状況ではいけない。
保育所も、4月・9月入園と時期を決めずにいつでも受け入れてほしい。柔軟性が足りない。


・日本の学生の政治に対する態度とイギリスの学生の政治に対する態度が全然違う。イギリスの学生はそれぞれ意見を持っていて、日本のようにあきらめていない。
また、大学側が資金援助をする学生連合がある。そこでは学生が休学して運営を行い、デモやシンポジウム、運動などを行う。土壌として大学や社会のサポートがある。
しかし、日本では学内でビラを配るのにもものすごく手間がかかるし、申請に時間がかかる。そういうことに関心があるというと白い目で見られがち。


・マス・メディアにおける女性比率は15%。これを話していた朝日新聞竹信三恵子さんが入社した際には男女雇用機会均等法施行前だったので、1%だった!
しかし、やはり3割いかないと厳しい。彼女は5〜20%は地獄の数字だという。ある程度中途半端に増えても、システムを変えるまでに至らないと、現状の厳しいシステムの中で女性だけが苦しく競争させられるだけになってしまう。その競争自体、バックに妻がいることが前提のものだが、女に妻はいないわけで。
若い世代は我々を幸せじゃないと思っているけれど、幸せじゃない!無理していろいろなことをこなさなければならないのは事実。また、男性と違うことをやろうとする人は大変苦労する。適応していった人のほうが、高い評価をもらえる。違うことをするのは、キツイ。
現在の報道では犯罪報道が多いが、人権報道は少ない。政局報道が多いが、肝心の中身については話されないなど、問題も多いはず。これも女性が多くなれば、変わるのではないか。マス・メディアが変われば、そこから発信されることが共有されるのではないか。


私はシンポジウムが終わって帰る途中に、竹宮三恵子さんの岩波ブックレット「女性を活用する国、しない国」を買ってくると、今までむさぼるように読んでしまった。

「人間は男性も女性も、1日24時間しかありません。ですから、男性や社会が、女性の担ってきた家事・育児などのお金にならない仕事を一部分担しなければ、女性が外で活躍する時間をつくることはできません。また、女性が外でお金を稼いで男性の『扶養する義務』を一部分け持たなければ、男性は育児などの時間を作ることができません。これができて、はじめて企業は『育児や介護や地域などについての新しい知恵』を持つ働き手を手に入れることができるのです」

「これらの不定期な仕事に女性が多い根底には、日本の社会が育児や介護などにあまり税金を使わず、女性の無償労働(アンペイド・ワーク)に依存してきたことがあります。保育・介護サービスなどの社会的支援が乏しいため、女性は、家庭責任を優先できる短時間労働を選ばざるを得ず、パート労働や、登録して仕事がある時だけ働く派遣労働に向かうことになりました。また、均等法と引き替えに、女性の労働時間規制が撤廃されたため、長時間労働の男性正社員を基準にした職場で働き続けることが難しくなったことも、こうした動きを促進しました。
同時に、そうした女性の低賃金をカバーするため、男性は長時間働かざるを得ず、家事・育児などの分担は進まず、さらに女性への負担が増すという悪循環が続いてきたといえるでしょう。」

この辺が印象的。さんざん言われてきたことだけど、みんな苦しいんだぜ!今のままじゃ!感がよくあらわれてると思う。
しかし、私も働かなくては、とはっきり思った。いろいろなことに怒ったりするためには、どんな仕事でもいいから働かなくてはならない。働いてもっと社会を見なくてはいけないと思うし、このままだと私は私のことに対する言葉をもてないままだ。それがわかった。苦しいけど、働く。いろんなことを言葉にして、おかしいって声を上げることだけは忘れずに、でも生活するために、私は私のために、働く。

この運動はこの後も見続けていきたいな、と思った。私も女性の政治家ってことを意識して投票しようと思うし。
グローバル・コンサーン研究所のHPに今後いろいろ情報が載るそうなので、チェックしていこうー。