上智講演まとめ

1月29日、上智大学にて行われた「身近にあるホームレス問題と民主主義〜差別と排除を超えて〜」と題した講演に行ってまいりました。


以下、まとめ。


・公園に住むのはほんとうに駄目なことなのか?
公園住所訴訟について。(大阪にて公園内にテントを建て、生活していたXが公園を住所として転居届を提出するが、区長が不受理したため訴訟を起こした)本来、日本の民法は「各人の生活の本拠をその者の住所とする」(民法第22条)と定めており、つまりはその人がもっぱら住み、生活しているところを住所と定めている。はずである。しかし、高裁・最高裁はその住んでいるという事実自体を否定し、住所と認めなかった。
最高裁都市公園法に違反して、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいることなで原審の違法に確定した事実関係のもとにおいては、社会通念上、上記テントの所在地が客観的に生活の本拠としての実態を具備しているものとみることができない」
リンクは高裁判決時点でのもの。最高裁も高裁を支持し、結局原告は敗訴。(http://www.news.janjan.jp/living/0701/0701238690/1.php
→この事件をぐぐると2ちゃんがひっかかりすぎるよー…!ちょっと辟易するくらいの意見が多いよー!みんなこれが認められるならば立地は最高な新宿公園に住むとか書きこんでいたけど、本当に公園に住みたいなんて思っていないはずだ。だって、外ナベであらためて実感したけど、冬は寒い。外気温が低いのはもちろんだし、コンクリートに座り込むとどんどん体が冷えてくる。立地が便利である、そこの地価が高いのにずるいって馬鹿かと。この裁判を起こした人が求めているのってそういうことじゃないでしょう。


・日本では様々な権利や基本義務を住所を基に整理されている。たとえば、憲法で選挙権を保障しているにもかかわらず、住所がなければそれを行使することはできない。たとえば、住所がないと…携帯の契約ができない、口座を持てない、郵便物も受け取れない、履歴書に住所を書けない(郵便物を受け取れず、口座を持てないということは年金も受け取れない)また、普段はとても簡単にできる手続きが急にできなくなる。自分を守ってくれていた「見えない屋根」がなくなる。
→住所はその人の人格よりも重視される?
私自身もネットでの付き合いに、あっさりすっぱりいなくなられちゃうことがすごくこわいんだけれど、住所という要素が増えるだけで急に安心感がでてくる…。無意識のうちに信頼性の証になっている?


・住所がないと選挙にも行くことが出来ない!
投票できないのは住所を持たないホームレスだけではない。避難シェルター、もしくは配偶者の追跡を恐れて住民票の移動をしていないDV被害者も選挙権を行使できない。投票用紙が来ないから。
→つまり彼らは、「公的な奴隷状態」(他人が勝手に決めたことに従わざるを得ない、しかも自分はそれに関与できない状態)にある。抑圧されているマイノリティに選挙権が与えられなければ、その状況を改善することができない!><


・投票する「権利」と納税する「義務」
ホームレスの人が投票権を持たないことに対して、「義務を果たしていないから」と答える人が下手をすると大学の教授の中にもいるかもしれない?でもそれってほんとなのか?
→民主主義以前の問題、歴史からみてもこの考えはおかしい(フランス人権宣言?http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/furannsujinnkennsenngenn.htm ここらへん曖昧なので訂正あれば教えてください…)
しかしそもそも税金を払っていないということ自体も嘘!当然、モノを買えば、消費税を払っている。しかも消費税は逆進性が高く、負担率が大きいことになる。絶対的な量が少ないと反論が出るかもしれないが、大きな金額を払っている人が大きな声で発言できるというのもまたおかしな話。


・「民主主義とは制度ではなく、プロセス、運動、そして力である」
ルールや制度は民主主義そのものではない。そのプロセスや運動こそが民主主義なのである。絶えず民主化しようとするということにしか民主主義はありえない。同時に多数決、多数派というものによって少数派の意見が聞こえにくくなっているということも忘れないようにしておく。(そもそも日本においては多数派という言葉自体意味があいまいらしい。過半数を指すのか?より大きな意見を指すのか?英語では区別されている)
民主主義は与えられるものではない!自分の意見を持っているのがめずらしいことである、というふうにしない社会にしていく。自分自身の権利を持ち、それを正当に行使していくということ。


・すべての人が選挙権を有し、それを行使できる社会にするためには?
住民票を基礎に投票権を付与しない場合、懸念されるのが「二重投票」。しかし、それを盾に投票権を与えないというのは本当に正しいのか?在外選挙のように名簿に登録し、選挙権を運用するような制度があるのだから、これを国内の住民票がない人々にも応用できないのだろうか。
ちなみに…海外の状況。アメリカではホームレス支援施設でも、寝起きする道路名でも有権者登録ができるため投票を行うことができ、フランスでは役所を住所として提供することで住所がない人にも選挙権があるそうな。(ちなみにフランスでググっていたらこんなのも見つかりました。すごい運動!http://www.jrcl.net/frame07129g.html)米国のアンケートでは「路上に寝ている人でも投票権を持ちますか?」という質問に対して、すべての州でYESと答えている。


成年後見制度において後見人をつけると、投票できなくなる。弱者の権利こそが剥奪されてしまう…。
→こ、これはほんとうにどうしたらよいのか…!夏の実習の時にも、後見制度のことはデメリットばかりが強調されたような気がして運用がこわいですわ…。


・10年間、議員に調査などを送って、陳情を続け、改善がなければ、それは議会の責任である!


・ホームレス総合相談ネットワーク
弁護士、司法書士が中心?法律の力を持つというのは強いなあ…という印象。しかし今日はPSWも寸劇に参加していた!ホームレス支援にもかかわるのか!驚!
生保相談だけではなく、更生保護にもかかわり、申請後のアフターフォローも行うとのこと。生保自体の手続きはすごく簡単なことなのに、窓口で差別的な対応をされることが多い…。


上智大学内のアンケート
上智大学生を対象としたホームレス意識調査が配布される。気になった質問と結果をちょびっと抜粋。
①ホームレスの人々は普段何をしていると思いますか?
→空き缶等を集めている33%、寝ている28%、ぶらぶらしている12%、物乞いをしている8%、仕事を探している8%、日雇いの仕事を探している7%、想像できない2%、その他2%
②一般的にホームレスの人が野宿するに至る原因に個人の責任はどの程度関係していると思いますか?
→ある程度関係している69%、非常に関係している21%、ほとんど関係していない10%、全く関係していない0%
③自分はホームレスになる可能性があると考えたことはありますか?
→考えたことがある34%、考えたことはない62%、よく考える4%
→(考えたことがある理由)誰でも可能性がある、不透明な社会状況・不況、職を失ったらありうる、就職が決まらなかったら、頼れる人を失ったら、ホームレスの実情を見聞きして、貯金が無くなったらありうる、将来に不安がある、身近でよくホームレスを目にする、現在の家族の状況から、病気になったらありうる
→(考えたことがない理由)想像できない・したくない、頼れる身内・友人がいる、ホームレスにならないよう努力する、現在の過程が恵まれている、生活保護等の制度を利用する、最低限の仕事を探す、身近にホームレスがいない、現在家がある、自分はなんとか暮らしていける、大学まで教育を受けている
④ホームレスの人に選挙権はあると思いますか?
→あると思う85%、ないと思う15%
→(ないと回答した主な理由)税金を払うという義務を果たしていないので権利はない、「社会」に属していると言えないから、公共の場で勝手に寝泊まりしているから、戸籍がないため選挙権はない、住民票がない場合は選挙権もない、国に関する十分な知識がないから、社会貢献を怠っているから、労働もせず納税もしていないホームレスなら単純にあるとはいえない気がする
無作為抽出ではなく、グローバルコンサーン研究所に所属する教授の授業を履修している学生に対して行ったアンケートにもかかわらず、この結果である…他の学部も含めればさらにすごい結果になるのではないか。(上智の先生のコメント)
しかし、逆にホームレス総合相談ネットワーク、のぶきさんは「自分がホームレス状態になると考えたことがあるか?に6割というのはすごい。私自身は大学生の時、そんな風に思ったことがなかった。若い人たちがこれだけの危機感を持つほどの厳しい状況があるのではないか」とコメントされていた。
→自分の大学でもやってみたいな、と思った。しかし、無記名とはいえ、ホームレスの人々に対する嫌悪をこんなにあらわにする人がいるんだな、とショックでもあった。嫌な体験があったのかもしれないけれど。さすが上智様様な結果なのだろうか。比較できるものがないから、よくわからん…。



私が法律関係の知識があまりないためにわからなかったこと、聞き取れなかったことが多いため、内容があいまいです。また、このブログをいったいどの程度の人がみてくれているのかわかんないので、どのくらい詳しく書くか迷ったのですが、一応これくらいにしておきます。
しかし精度が低いといけないので、いろいろ調べながら書いていたのですが、ググるたび2ちゃんがひっかかるといちいちへこむ…。
でも、これ(http://kiyotani.at.webry.info/200601/article_38.html)のコメント欄の最後のほうで議論している2人は今の世間の市民感情をうまく表してるんじゃないだろうか、と思ってしまった。本当に困っている人を排除したくない、でもフリーライダーを許したくない、その葛藤は正直、私にもわかる部分があると思ってしまうので。

あといちいち2ちゃんの書き込み気にしてたらあれですけど、
「そもそも住所が無いこと自体犯罪で軽犯罪法に触れるんだよ。警察はホームレス全員をその気になれば逮捕できる。ホームレスを全員逮捕して刑務所に送って街をきれいにし、ホームレスにも飯と寝る場を刑務所とはいえ提供して、真人間として生きるすべをそこで教えるべきなんだが 、刑務所には自由が無いとか言ってホームレス生活
戻る人が出てきそうだな」っていうのは、一体なんの軽犯罪にふれるんですか?この人の妄言ですか?誰か、分かる人がいたら教えてください。


うおおおおほうりつぜんぜんわかんないようーーーーーーーーー