【レビュー】 「雲の上のキスケさん」 鴨居まさね 

雲の上のキスケさん (1) (ヤングユーコミックス)

雲の上のキスケさん (1) (ヤングユーコミックス)

私はこの漫画がとても好きだ。紹介するからには当たり前なのかもしれないけれど、こういう恋愛をしたいなあと思うから。
(レタスバーガープリーズ、OK!OK!とかもおんなじような理由で好き)



周りの女の子の恋愛は聞いていて、ちょっぴり悲しかったりする。
たとえば、最近話を聞いた後輩の子は彼氏と別れた原因は誕生日プレゼントをくれなかったから、と言っていた。
もしかしたらそれは彼女にとって、いろいろあったうえのきっかけのひとつにすぎなかったかもしれないけれど、それで2年付き合ったことが終わってしまうなんて私にはあんまり信じられなかった。
世の中の男女交際なんてそんなもんなんだろうか、よくわからん。
まあ自分のことになったらたぶん怒るとは思うんだけれど。でも別れるきっかけになるのだろうか。結局、よくわからん。
だからなおのこと、この漫画に出てくるキスケさんと眉子さんの恋愛は、うらやましい。
お互いがお互いを好きで、しかも嫌な感じじゃないうらやましいラブラブ加減。
そんだけお互いのバランスを整えて、しかもいい影響を与えられるなんていいなあ、と素直に思う。
つらいこともうれしいことも自分の中で消化しきれないことも一緒に共有できる二人はとてもほほえましくて好ましい。



そしてたぶん、この人の漫画はどこか田辺聖子っぽいことも好きな理由の一つだ。
女の人は自分の足で立っている大人の女の人で、男の人をかわいいなあと思う余裕のある、そういうよさを見つけてほめることのできる女の人。
いろんなことを楽しいと思っていて、でも愚かな空しいことを上手に乗り越えることのできる人。
さみしい思いばっかりにとらわれていない人。
なのでこの人がコミカライズした田辺聖子の小説もとてもよかった。
雰囲気がもう、まさに!なのだ
花津ハナヨも言い寄るをコミカライズしていたが、あっちは悲しいかな、ただの流される女になっていた
他の漫画はいいのに。残念。特に今コーラスかなんかで連載してる大人のおもちゃの話は超!ホームベース!って感じでおもしろいのに)



ギャグや人物描写も秀逸(さすが関西地方出身)で楽しめるし、せっかく最近コミック文庫で再販になって手に入れやすくなったので、ぜひに。